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スポーツに必要な視力
2011年09月06日 (火) | 編集 |
一言にスポーツといっても、視力によって能力を大きく左右される競技とそうでないものがあります。
例えば、マラソンや水泳といった競技は目を使った判断によって
プレーを左右されることはあまりありません。
ところが反対に、野球やサッカー、テニスといった球技、
また、F-1、バイクレースといったスピードを競うモータースポーツ、
ボクシング等の格闘技には、視力がプレーの内容に大きく関わってきます。


○素早く動くものを見る力~「動体視力」~○

私たちが視力検査のときに測定する視力を「静止視力」と言います。
止まったものを見る視力のことです。
一方、動くものを見る視力のことを「動体視力」と言います。
この動体視力に大きな影響を受けるスポーツ競技が「球技」です。
特に動きの速いボールを相手にする野球やサッカー、テニス、
卓球といったスポーツでは、この動体視力が重要な鍵を握ってきます。
動体視力には2つの種類があります。1つは「DVA動体視力」と言い、
左右、もしくは上下に動くものを見る視力のことです。
2つめは「KVA動体視力」で、
遠くから自分の方へ近づいてくるものを見る視力を言います。

野球を例にとると、ピッチャーが投げた球をバッターが打とうとする瞬間、
上半身をひねって打つときには「DVA動体視力」が活かされていると言えます。
また、飛んできた球を野手がキャッチする際には「KVA動体視力」が
活用されています。


上下左右、遠くから近くへと自在に動く球を追う球技には、この2つの動体視力を
統合的に発揮することが必要です。



○広い視野と判断力~「周辺視力」~○

通常、意識して「ものを見よう」とする時、目は光を感じる部分である「網膜」の中心で
ものを見ています。これを「中心視力」といいます。これに対して「周辺視力」とは、
網膜の中心以外の、周りの部分を使って見る視力のことです。
「周辺視力」は広範囲のものを視界に入れることが出来るので、
周囲と自分の位置関係を把握するのに役立ち、スポーツ選手にとっては
重要な要素の一つになっています。
「周辺視力」を遮断してしまうと、平衡感覚が失われたり、精神的に不安を感じてしまう、
という実験結果もあります。周囲が見えていないと、試合中、自分のポジションが
判断出来なかったり、方向感覚が上手く働かないということが起こると言います。
槍投げの選手に対して「周辺視力」を使えないようにして実験をしたところ、
投げた槍が左右に偏ってしまったり、普段より距離が伸びなかった、
ということもあったそうです。
人は、自分で意識して見ているもの以外にも、自然と「周辺視力」を
使って広い範囲を認識しています。普段は気付きませんが、「周辺視力」は
とても重要な役割を持っているのですね。


▽スポーツならではの高度な視力~「深視力」と「瞬間視」~

「深視力」とは聞き慣れない言葉ですが、これは遠近感や立体感を
見る視力のことです。
これを測定するための検査を「三桿(さんかん)試験」と言います。
大型2輪免許や2種免許の試験で行われているものです。
「三桿試験」とは、3本の棒のうち両端の2本が固定され、真中の1本が前後に移動し、
3本が並んだと感じたときにボタンを押し、そのズレを測定します。
つまり、前後の距離感を測定するものです。
例えば、サッカーは22人のプレーヤーが複雑なフォーメーションで、
絶え間なく動くスポーツです。
一瞬にしてプレーヤーの前後関係を判断できなくては、適切なパスを出せません。
また、センタリングされたボールのシュート、ヘディングなどのタイミングは、
微妙な距離感があってこそです。
深視力がサッカー選手にとって非常に大事な能力であることがわかります。

また、深視力と同じようにスポーツのシーンで活躍する視力の一つに
「瞬間視」があります。これは、様々な動きをもつ対象物を一気に捉え、
把握し、それに対応する能力のことです。
例えば、バレーボールのスパイクを打つときなど、一瞬の内にどこに打つかを
決めなければなりません。

サッカーのパスも「瞬間視」を必要とするいい例です。
様々な動きをするディフェンダー、そして味方チームのプレイヤーの動きを
一瞬で捉えて判断し、最適なコース、最適なスピードでパスを出す、
まさに「瞬間視」が発揮されていると言えます。
日常生活ではなかなか意識される機会の少ないこの「深視力」と「瞬間視」。
積極的に体を動かすスポーツでこそ発揮される、興味深い目の能力ですね。


一流のスポーツ選手は、
身体能力だけではなく視力も優れたものを要求されるということですね。
普段はなかなか意識しませんが、スポーツ観戦をする際に選手の目の動きや視線を
見てみるのも面白いかもしれませんね。(増)


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