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馬の目

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馬の目はコメカミの下、額のやや側面にあります。

そのことにより、広範囲の視野が得られ、頭の向きを変えなくても、
周囲の出来事を肩越しに見ることが出来ます。

しかし、一方で、馬の視力が格段優れている、とは言えないそうです。

実は、研究によりますと、静止している時の馬の視力はおよそ300m
以内のもの、歩行中の時は100m以内のものしか見えないそうです。

1歳の馬の視力は更に悪く、およそ50m以上のものは見えていない、
と言われています。

10月頃の離乳の際、観察してみますと、確かに、嘶きで場所を特定し
合っているように思えるそうです。

これらの事実は、今世紀前半に世界中のサラブレッドの選択に、
大きく貢献した、有名な生産者フェデリコ・テシオ氏が行った、
一連の実験を元にまとめられたものです。

テシオ氏はその著書「Experi- ments on the thoroughbred 」において、
上記の結論に到達できた実験について記述しています。

要するに、馬の視力は極めて制約されているが、視界は非常に広いと
言って良いと思います。

そして馬は大きな眼をしています。

実際、馬の眼球の直径はおよそ4.5cmで人の眼球の2倍の大きさが
あるそうです。

重さは約100g、陸生動物では最大の部類に属します。

ただし馬の眼球はピンポン球のようなきれいな球形ではなく、
ややゆがんだ形状をしているそうです。

人は遠くから近くに目を転じた場合、光を網膜に投影するレンズの
役目をしている水晶体の厚みを、対象物の距離に合せて瞬時に変えて
います。

水晶体の厚みは、その周辺をふちどっている毛様体筋の収縮と弛緩に
よって柔軟に変化します。

ただし年を取ってくると水晶体の弾力性が低下し、見たい物に思うように
焦点が合わせられなくなる。

これがいわゆる老眼です。

馬の場合、焦点合わせの方法は人とは少し異なっているそうです。

馬の水晶体はその眼球同様かなり大きいですが、毛様体筋の発達は貧弱で
あるそうです。

そのためこの筋肉の動きだけでは焦点合わせは不完全と考えられていて、
彼らはそれをおぎなうため、上述した眼球のゆがみを焦点合わせに利用して
いるそうです。

すなわち遠くを見る時にはあごを引き上目使いに、近くを見る時には逆に
あごをあげて対象物を注視します。

この感じは、ちょうど遠近両用のめがねを使っている状態に近いといえる
でしょう。

正面から見た時、両眼の間隔は相当ひらいていて、ほとんど頭部の真横に
目がついているといってもよいほどです。

ただし両眼がこのような位置にあることは、馬が野生で生き抜くためには
重要な要素です。

馬の瞳孔(どうこう)は横長に開いています。

その瞳孔の形状と眼球の位置により、馬はパノラマ的に世界を見ることが
できます。

馬の視野は 350度にもおよぶのです。この結果、馬は背後から忍び足で近づいて
くる敵をいち早く察知し、逃げのびることができるのです。

ただし欠点として馬は視野の5分の4以上を片方の目だけで見ているそうです。

その部分では視覚による距離の判別ができないのです。(井)


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