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未熟児網膜症
2013年11月29日 (金) | 編集 |
皆さんは『未熟児網膜症』という病気をご存じですか?
あまり聞いたことがない方も多いのではないでしょうか。

『未熟児網膜症』とは、網膜の血管の未熟性に基づく疾患で、在胎週数34週未満、出生体重が1800g未満の低出生体重児に起こりやすく、生後3~6週頃に発症します。

私たちヒトの『眼』は、妊娠第3週頃に出来始め、7週頃には眼球の形がほとんど完成しています。
光の刺激を脳に伝える神経の膜である『網膜』もこの時期には形成されています。

そこから伸びる視神経も神経管を伝って大脳にまで到達していますが、網膜を養う血管は妊娠16週以降に視神経乳頭部から網膜の外側へと発達し始めます。

この視神経乳頭部は、中央よりやや鼻側にあり、鼻側の網膜血管は、妊娠第8ヶ月くらいには網膜の端まで発達し終わっているのですが、耳側の網膜血管は長いので、9ヶ月以降にならないと発達し終わりません。

なので、多くは耳側の網膜に病変が起こります。

原因としては、胎児が予定より早く生まれてしまったため、網膜血管の発達が終わっていない為に生じます。
高濃度の酸素の投与も要因の1つと考えられていますが、これだけが原因ではなさそうです。

高濃度の酸素は、これから伸びていこうとする網膜の血管を収縮させます。
これがある程度以上続くと血管の先端部が閉塞してしまいます。
子宮の中から体外にでるだけで、赤ちゃんがさらされる酸素の濃度は2~3倍になるのです。

これだけでもまだ発達途中だった網膜の血管は収縮しますが、未熟児の場合多くは保育器の中で高濃度の酸素が投与されるのでさらに血管が収縮し、閉塞を起こしてしまうわけです。
保育器の中にいる間は高濃度の酸素のために、血管が閉塞しても酸素は十分行き渡り、血管ができていない部分の網膜も酸素が足りている状態になります。

しかし、酸素の投与がなくなると、血管のない部分の網膜は酸欠状態になってしまいます。
 
酸素不足を解消するために、血管を伸ばして酸素を供給しなければならないのですが、延びるべき血管が閉塞してしまっているために、その周囲から新生血管という、未熟で異常な血管が周囲に向かって伸びて行きます。
この新生血管は非常にもろく破れやすいので、出血をしたり、重症例では、伸びていくときに、線維性の組織を伴って伸びてゆくので、これが収縮して網膜を引っ張り網膜剥離を起こして失明することもあるのです。

ほとんどの場合は途中で進行が止まり自然に治癒しますが、重症化する可能性も決して少なくありません。

その『未熟児網膜症』の手術は、2004年に始まりました。
そして現在、その手術法が病気の進行を抑え、67%の子が日常生活に支障ない視力になったことが明らかになりました。

従来、重症の場合、異常な血管の活動が落ち着いてからその血管の膜を切り取っていたそうですが、網膜のはがれが進むため、明暗や物の動きがわかる程度にしか改善しなかったそうです。

しかし、国立成育医療研究センター眼科の医師らが、異常な血管が伸びる足がかりとなる硝子体の線維を、なるべく早く切り取る手術を開始し、7年半で57人(103眼)が手術を受けました。

その結果、視力を測れた生後8カ月~4歳10カ月の32人(58眼)のうち、67%の人の視力が0.08~0.5(平均0.2)となり、少しずつ良い方向に向かっている方がたくさんいらっしゃるようです。

現在も、この医療技術は着々と進化しているのだとか。

更に技術が向上して、もっと多くの赤ちゃんたちが、視力を取り戻すことができますように。(安)